Cedars-Sinai Heart Institute留学記(宇都宮裕人)
広島大学病院 医科診療医
宇都宮裕人(H14卒)
留学生活
私は2014年2月より2年間、米国カリフォルニア州ロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ病院心エコー部門に留学しました。
ロサンゼルス市は戦前に日本人が多く移民した町として知られ、今でも日系住民が多く暮らしており日本人にとって暮らしやすい街です。
また西海岸特有の爽やかな天候と開放的な雰囲気が研究に没頭するには最適な環境をつくっています。
- 病院からの眺望 (山の手方向は高級住宅街で知られるビバリーヒルズ)
シーダーズ・サイナイ病院心臓血管研究所は、米国西部で最大級の心臓病センターで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の中心的な関連病院でもあります。
- 研究室のあるCedars-Sinai Advanced Health Sciences Pavilion (AHSP)
心エコー部門をはじめとした合計11部門で構成され、年間の入院患者数は5600例にのぼります。特に構造的心疾患に対する経カテーテル的治療や低侵襲ロボット手術、および心臓移植の分野が有名です。
経カテーテル的大動脈弁置換術、経カテーテル的僧帽弁クリップ術、心房細動例に対する経カテーテル的左心耳閉鎖術などの実績は全米一であり、世界中から見学者が集まっていました。
また、病院の経営方針として、臨床面と同等に研究が重視されており、当研究所から発信された論文数は1年間で約300本、獲得された研究グラントはおよそ20億円にのぼります。
半年に1回、病院側からの報告会があるのですが、その質・量に圧倒されます。こうした研究成果は市民教育や無料のヘルスケアプログラムという形で患者側に還元され、ロサンゼルス市民のみならず全カリフォルニア州民から大きな信頼を集めています。
研究室を主宰する塩田隆弘先生は、リアルタイム3次元心エコーの分野の権威であり、研究室にはスタッフ医師のほかに臨床フェロー4人、我々と同じ研究フェロー6人、検査技師30人、その他の技術者や秘書などのサポートスタッフが数多く在籍しています。
私は3次元経食道心エコーのデータ管理と臨床研究を担当し、経カテーテル的大動脈弁置換術における大動脈弁評価、ならびに三尖弁の3次元解析といったテーマで論文をまとめることができました。
その過程で、米国のみならず英国、オーストラリア、カナダ、スペイン、中国など世界中から集まってきた若手研究者達と切磋琢磨する機会をいただき、それが自分の財産となっています。若手の先生方にも、研究のみならず人生の視野を広げることができる留学生活をぜひおすすめしたいと思います。
最後になりましたが, このような貴重な留学の機会を与えていただきました木原 康樹教授ならびに同門の諸先生方に心より御礼申し上げます。