Cedars-Sinai Medical Center, Smidt Heart Institute留学記(池永寛樹)
池永寛樹 (平成17年卒)
2017年10月より2018年8月まで約10ヵ月、アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスのCedars-Sinai Medical Centerに留学をさせていただきました。
私が留学したCedars-Sinai Medical Centerは2013年からアメリカ西海岸でNo.1 Hospitalに選出されており、アメリカ全体でもNo.4に選出されているアメリカ屈指の病院です。またHeart Instituteはアメリカ西部で最大級の規模を誇り、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の中心的な関連病院でもあります。
もともとはCedars-Sinai Medical Center, Heart Instituteという名前でしたが、Smidtさんという大富豪から昨年約50億円の寄付があり、名前がSmidt Heart Instituteと変わりました。院内には映画監督のスティーヴン・スピルバーグが寄付したSpielberg Buildingという名称の建物もあり、社会貢献の為に寄付をするというアメリカならでは文化が感じられます。
Smidt Heart Instituteは一般循環器、高血圧、CCU、心臓外科、不整脈、重症心不全/心移植、先天性心疾患、心エコー、画像診断、カテーテルインターベンション、女性心臓センターの11部門で構成されています。ビバリーヒルズなどのセレブが受診しているイメージが強いのですが、急患も連日周辺の病院からヘリコプターで搬送される最前線の臨床病院である一方、院内には基礎実験を行う専門の施設もあり多数の研究者が研究を行っています。Private hospitalでありながら研究、教育に力を入れている病院です。Swan-Ganz catheter 発祥の病院で、Forrester分類で有名なForrester先生も所属しており、ご高齢となった今でもカンファレンスで積極的に発言をされています。
私が所属していましたCardiac Noninvasive Laboratoryには日本人フェローが5人所属しており、BossであるDr. Shiotaのご指導の元、様々な研究に従事させていただきました。Cedars-Sinai Medical Center は構造的心疾患(Structural Heart Disease)に対するカテーテル治療で特に有名で、2017年は大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁留置術約400例、僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁形成術約200例が行われました。
私は、2018年度より日本でも保険償還された僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClipに関してエコーでの形態評価や血行動態の研究を行いました。非常に症例数が多いので日本では経験しないような症例を勉強することができ、論文も沢山書くことができました。いろいろな新しいものに触れ合うことにより自分の世界を広げる事が出来たような気がします。現在周辺の病院に先駆けて広島大学でもMitraClipを行うことができるようになり、留学先での経験を生かすことができています。
ロサンゼルスはニューヨークに次いで全米第二位の人口を誇る大都市です。日本人も多く日系のスーパーも沢山あり、雨もほとんど降らない温暖な気候で非常に生活しやすい環境です。メジャーリーグのドジャースの本拠地で、広島カープから移籍した前田健太投手が所属していました。アナハイムのエンゼルスに二刀流で話題の大谷翔平選手も所属しています。ユニバーサルスタジオやディズニーランド、ハリウッドも近くにあります。街に娯楽は沢山あるのですが、休みの日は友人とバーベキューや、海や国立公園といった自然に触れ合いながら過ごしました。日本ではなかなかできない生活を経験できるのも留学の醍醐味だと思います。
最後になりましたが貴重な留学の機会を与えて下さり、木原教授、中野教授、栗栖先生、宇都宮先生を始め医局の先生方に大変感謝しています。また同門会より学術研究助成を頂きまして誠にありがとうございます。この場をお借りして感謝申し上げます。
American Society of Echocardiography ConferenceにてラボのBossの塩田先生、宇都宮先生と。
ヨセミテ国立公園